あなたにおくる最後の言葉

弔辞など故人に向けた言葉を集めました





石田ひかりさんから大林宣彦監督への追悼のことば

 

わたしの大恩人大林宣彦監督が、とうとう天国へ逝ってしまいました。

鳴かず飛ばずのアイドルだった18歳のあの日、青山のスパイラルのカフェでお会いした、あの日がなければ今のわたしは間違いなくいません。

映画のオーディションとは知らず、監督とのお話に一生懸命答えていたわたしに「ぼくはね、姿勢のいい子と、ちゃんと返事が出来る子が好きなんだ」とおっしゃってくださった事、今でも支えになっています。

厳しい両親に育てられて本当に苦痛だったけど、今までの日々が報われたような気持ちになりました。

それから間も無く初の映画「ふたり」が決まって、監督の故郷、尾道で18歳の夏を過ごしたのでした。

この映画でわたしはたくさんの賞をいただき、ドラマ「悪女」や、監督との第二作「はるか、ノスタルジィ」と続いていくわけです。

監督との思い出を語り出したら止まらなくなります。

昨年の9月にお会いしたとき「ひかりで新作を考えているからね。スケジュール空けておいてね」とおっしゃってくださいました。

もうすでにかなりつらそうなご体調でしたが、絶対に現実になりますようにと祈っていました。

叶わなかったことは本当に残念ですが、その約束は忘れませんからね、監督!

いつかわたしがおばあちゃんになって、そちらに行った時
「さあ監督、お願いします!」って言いますからね!

監督の存在は大きすぎて、まだまだ放心状態です。

監督から教えていただいたこと、ご指導いただいたこと、すべて、すべて、忘れません。

監督、これからも見ていてくださいね。

天国へ召された4月10日は、監督の新作「海辺の映画館 キネマの玉手箱」の封切り日でした。

このご時世なので、延期になっていましたが、きっとその日を見届けたのだろうなと思います。

最後まで映画と共に生きた、素晴らしい監督でした。

監督はいつも現場で一番元気で、でも誰よりも働いて、寝ていなかったので、
「監督、大丈夫ですか?」と聞くと「ぼくはこの世でやりたいことがたくさんあって、寝てる場合じゃないんだ。あの世でゆっくり休ませてもらうから」とおっしゃるのでした。

監督、寂しいなんてものじゃないくらい寂しくなってしまいましたが、素晴らしい人生でしたね。

どうぞゆっくり休んでくださいね。

そして天国でも映画を撮り続けていてください!

そちらには、薩谷さんも長野さんもいらっしゃいますしね!

もう再会されましたか?

わたしも、うーんと先ですが行きますので、またお会いできる日まで、こちらで頑張り尽くしてから行きます。

監督が導いてくださった俳優の道、がんばります。

本当に本当にありがとうございました。

心からの感謝を込めて。


ひかり

--------------------------------------------------------------------------------------------

石田ひかりさんのインスタグラムより(句読点を加えた)