あなたにおくる最後の言葉

弔辞など故人に向けた言葉を集めました





坂本龍一さんから大島渚監督への弔辞

 

あなたが亡くなられてから我が家では追悼のために「大島祭」をやっております。
あなたの処女作『愛と希望の街』から順番に観てきました。

最初にあなたの映画に出逢ったのは15、6の時。
最初に観たのは確か『日本春歌考』だと思います。
今でもあなたの作品で中で1、2位を争うほど好きな作品です。
それ以来、あなたは僕のヒーローになりました。

そのヒーローであるあなたが、たったひとりで台本を脇に抱えて私に会いにきてくださいました。
大変驚きました。
あなたは私に「映画で出てください」とおっしゃいました。
それまで全く経験のない私は無謀にも「私に音楽をやらせてください」と頼みました。
あなたは「いいです。お願いします。」と即答されました。
そこから全てが変わりました。
今日あるのは大島監督、あなたのおかげです。
一緒にカンヌに行った楽しい日々のことも忘れません。
『御法度』のときに、また懐かしい顔が一同に会したことも忘れられません。

あなたは本当に偉大な映画監督であり、偉大な人間でした。
あなたのような社会を厳しく叱る人間がいなくなり、日本は少しつまらない国になったのかもしれません。
現在の日本という国を見て、あなたはどう思っておられるのでしょうか?

あなたの全てにありがとう。
安らかにお休みください。

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2013年1月22日 築地本願寺にて告別式