あなたにおくる最後の言葉

弔辞など故人に向けた言葉を集めました





崔洋一さん追悼 ビートたけしさんの弔辞

 


突然の訃報に、まだ信じられないというのが、正直な気持ちです。
本来であればお伺いしてお見送りしたかったのですが、事情により伺うことができず、心よりお詫び申し上げます。
崔監督とは、本当に長い付き合いで、振り返れば楽しい思い出ばかりでした。
大島渚監督の映画(99年)『御法度』では、私が新選組の土方歳三を、あなたが近藤勇を演じました。
まじめなあなたは、休憩時間に、常に私相手にセリフの稽古をしていました。
ある時、私がトイレへ行くと、中までついて来たあなたは、私の隣に立ち、『土方、例の件だが…』と、いきなりセリフの稽古を初めた事がありました」
そんなあなたとの思い出の中でも、あなたが監督をして、私が主演を務めた『血と骨』は、印象深い作品です。
あなたから出演依頼を受けた私は、『監督、出るのはいいけど、監督の演出は厳しいみたいだから、現場で怒鳴ったりしないで下さいね』と、一つだけ条件を出しました。
そして撮影が始まり、何度かNGを出す私に、怒鳴りたくても怒鳴れないあなたは、私が帰ったあと、一人トイレの中で、『たけしのバカ野郎!』と怒鳴っていたと、後日スタッフから聞きました。
『TVタックル』の収録現場では、休憩中に、映画の話、そしてバカ話をたくさんしましたね。
そんな話ももう出来ないと思うと、悲しい限りです。
数え切れない素晴らしい時間をどうもありがとう。
ご逝去の悼み、謹んでお悔み申し上げます。

 

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崔洋一さん:映画監督。2022年11月27日永眠。享年73。