あなたにおくる最後の言葉

弔辞など故人に向けた言葉を集めました





放火事件の犠牲になった京アニ社員の方へ八田英明社長の弔辞

 

「おはようございます」。この明るい毎朝のあいさつから1日が始まりました。それが変わらない日常でした。2年前の今日の朝までは。

今はもう聞くことができません。本当に悲しいです。私たちは毎日、口には出しませんがそんな思いを抱いて日々過ごしています。

筆舌に尽くしがたい本当に悲しい事件です。犯人が憎いです。心から一人一人のみなさんに哀悼の誠をささげます。そしてみなさん一人一人に、守れなかったことを本当に申し訳なく思っています。心から謝罪致します。

本年は会社を設立してちょうど40年になります。この40年の間に一人一人との出会いがありました。

会社の基礎を築き、引っ張っていった仲間たち、必死に背中を追いかけた後輩たち、お昼に一堂に会して楽しく食事をしたこと、会議で自分の気付き・目標を熱く語ってくれた意欲的な一人一人、いとおしく思います。クリエーターとして、アニメーターとして優秀な仲間が、北は北海道から、南は鹿児島まで、この地に集まりました。みな、輝いていました。

事件前から、ここに、この地で、みなで、言うなら「よってたかって」作ってきた作品たちがあります。令和元年9月16日公開の「ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝―永遠と自動手記人形―」、2年9月18日公開の「劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン」、そしてこの7月に放送開始となった「小林さんちのメイドラゴンS」。 

みなさんとともに作った作品たちはファンのみなさまのもとへ届けられ、大変あたたかい反響をいただきました。そして、みなさんとともに作ってきた数々の作品は、今も多くの方にごらんいただき、それが会社を支えてくれています。

まだまだ新作を作る制作力、技術には時間を要します。当面はみなで基礎を作った作品を続けていく予定です。

私たちは、みなさんの思いを大事にして、少しずつですが歩み始めています。みなさんは共にあります。

会社は、これからいろいろ困難な局面があるとは思いますが、みなさんに語りかけて、そして今いる社員、これから歩む新たな社員とともに、胸を張れる組織にしていきたいと念願しています。

あなたたちを忘れることはありません。いつも心の支えです。どうぞあたたかく見守ってください。

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2021年7月18日 追悼式にて